「キリムのモチーフから読み解く、遊牧民の願いと祈り」展

キリムとはトルコを中心に、広くは北アフリカからペルシャまでを含む広い範囲で織られる平織りの総称です。
アナトリアの遊牧民の生活の中から生まれました。
床に敷くラグとしての使用はもちろん、ベッドの寝具や穀物や塩などを運ぶ袋など、その使い方は多岐に渡ります。

そんな生活の必需品であるキリムは、遊牧民の女性たちの手によって代々織られてきました。
女性たちは小さな頃から母親にキリムの織り方を学びます。
そして自分が結婚する時には花嫁道具として、一張羅のキリムを織り上げて持参するのです。
花嫁たちは今まで学んできた集大成として技巧の限りを尽くし、美しいキリムを織り上げました。
その完成度は非常に高く、現代の技術を持ってしても機械織りでは到底再現できない程の見事なものであり、最近織られたニューキリムよりも、古い時期に手で織られたオールドキリムの方が価値が高いとされるのはそのためです。

そんなキリムの中には様々なモチーフが織り込まれています。
他の大陸で見られる織り物では、動物や人間など、より具体的でわかりやすいモチーフが多く見受けられますが、キリムの場合はそういった物はほとんど見られません。大多数が幾何学模様や抽象的なモチーフです。
遊牧移民の大半はイスラム教徒であり、偶像崇拝が禁止されているため、戒律の中で柄をデザインする必要があったからです。
しかしそんな背景があったからこそ、モチーフとモチーフを巧みに組み合わせ、複雑で美しいキリムの柄が生まれるきっかけとなりました。

モチーフ自体は抽象的ですが、それぞれには意味があり、織り手である女性たちの様々な祈りが込められています。
彼女たちは家族の幸せや健康、明るい未来など、やさしい祈りを美しい柄として織り込んでいくのです。

今回の展示ではそんなモチーフの意味をひとつずつ紐解き、遊牧民女性たちがどのような祈りを込めてキリムを織ったのかを検証していきたいと思います。

ただ、モチーフの意味は長い歴史の中で伝承されるうちに、意味が広がったり、部族によって異なってきたりと、様々な変遷を経てきているので、本来の意味を探ることは非常に困難なことでもあります。
そういった事情を踏まえた上で、今回はキリムの中で多く見られる、一般的なモチーフを中心にいくつかご紹介して参りたいと思います。

同時に、ラグとしては非常に高価なオールドキリムですが、手に触れていただくきっかけとして、身近に使いやすいオールドキリムを使ったクッションカバーを200枚ご用意しました。使用しているキリムは20年前〜80年程前に織られたオールドキリムやセミオールドキリムが中心です。

それぞれ何を意味しているのか、ひとつずつ検証しながら、複雑に組み合わさった美しい柄をお楽しみください。


「キリムのモチーフから読み解く、遊牧民の願いと祈り」展

2019年1月19日(土)〜2月29日(火)まで
※期間中の水・木曜日は定休日となります。

時間:12:00 – 19:00

場所:LIFE IS A JOURNEY! 「旅の基地」

〒658-0072
兵庫県神戸市東灘区岡本1-12-26 マンション藤106

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期間中の情報はinstagramにて配信予定です。

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