アイヌの知恵を術を編み込んだ白樺のカゴ – 北海道・美瑛 / スイノカゴ

先日、アイヌ民族最後の狩人である、姉崎 等さんについて書かれた「クマにあったらどうするか」という本を読みました。

姉崎さんはヒグマ専門の狩人。
人間なんか一撃で殺せる力を持った大きなヒグマを、たったひとりで追い続けてきた狩人の記録です。

この本がもう面白くて、面白くて!

姉崎さんは写真で見る限り、どちらかと言うと細身で小柄なように見えるおじいちゃん。
その姉崎さんが山で学んだ生きる術を、ご本人に直接質問を投げかけて、書き記されたのがこの本です。

例えば厳しい雪山の中を、姉崎さんはシャツとジャンパー、普通の魚屋さんが履いてそうな長靴といった軽装で入っていき、そのまま数日間を過ごします。
夜は雪が十数メートル積もる山の中で野宿。
そんな状況下でシャツだけの薄着で寝る姉崎さん。
テントも持っていないのにどうやって凍えずに寝るのか?

極寒の川に落ちて長靴の中に水が入ってしまった場合、凍傷を防ぐにはどうしたら良いか?

そしてタイトルの通り、「クマにあったらどうするか」などなど、姉崎さんの経験から得た知識が盛りだくさんに書かれています。

そんな姉崎さんの発言を読んでいると、常に感じるのは自然とクマに対する敬意。

今までの人生で何十頭も仕留めた有能な狩人である姉崎さんですが、だからと言って決して驕り高ぶることはありません。
むしろ「クマは自分のお師匠さん」だと言います。

古くからアイヌの人たちはクマから様々なことを学んできました。

アイヌの食文化の中にはその昔、クマを真似て食べ始めた食物もあると言います。

そんなクマのことを人々は「カムイ=神」と呼びます。
その背景には、姉崎さん同様、人々の自然に対する畏怖と敬意があります。

クマを単なる「怖ろしい猛獣」としか見ていなければ、そこから学ぶこともなかったでしょう。
神として崇め、その行動を観察し、そこで得た知識を生かしながら、アイヌの人たちは厳しい大地で自然と共存してきたのだと思います。

本当に素晴らしい本で読み終わってしばらく経ちますが、いまだ興奮さめやらぬ状態。
ついつい冒頭が長くなってしまいました。

(→ご興味ある方は こちら の本です)

実は今回ご紹介するSHOPさんは、そんなアイヌの「スイ」という名前で白樺のカゴを編む、スイノカゴさんです。

スイノカゴさんは北海道の美瑛にあります。

アイヌの人々にとっても、白樺で編むスリッパや長靴は身近な生活道具でした。

「スイ」とはアイヌのことばで「また」という意味があります。

“アイヌの方々が生きていくために培った知恵と術を、また…再び…形にできたら。”

そう言った意味が名前に込められています。

白樺の木の樹皮が取れるのは一年の中でたった一月だけ。
それを逃すと、どんなにナイフを入れても剥がれないそうです。

スイノカゴさんでは間伐されてしまう白樺の樹皮を使われています。

ぴったりと同じ幅で揃えられた樹皮。
このミリ以下の誤差も許さない細やかさが出来上がりを大きく左右するのだそう。

白樺の恵みをわけて頂いているので、無駄にしないようにと心がけて…

こうして様々な白樺のカゴが編まれていきます。

アイヌの精神が宿ったかのようなカゴたち。

長く使い続けると美しい飴色になるのだとか。

一生かけて、白樺の持つ美しさを引き出していきたくなります。

インスタグラムでは美しい美瑛の風景もたくさん紹介されています。

こちらは-25℃の気温の中、ダイヤモンドダストの写真。

キタキツネも!

夏の風景

秋の風景

雪がちらほら

そして冬

もちろん外の世界だけではありません。

お店で開催されるイベントもとても素敵。

屋号:スイノカゴさん(@suinokago)がシェアした投稿

LIFE IS A JOURNEY!ではこちらのスイノカゴさんで、ネパールのお母さんたちのフェアトレード手袋たちや、
チベットのヤクのツノのくしをお取り扱いしていただいております。

なのですが、スイノカゴさんは2月3月は冬季のお休みとなり、お店はクローズとなります。

告知が遅すぎました…申し訳ございません。。。

でも、そのほかの商品が掲載されているオンラインストアは冬の間も営業されています。

写真がいつも美しく、店内の様子も自然の中の様子もついついため息がもれてしまうスイノカゴさん。

こんな素敵なお店に置いていただいて、ネパールのお母さんに様子を見せてあげたい今日この頃です。

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