静まった部屋。
見知らぬ人のアラーム音が響き渡る。繰り返しアラームは鳴るが、主はまったく気がついていないらしい。周りからは寝返りを打つ音。誰かがバスルームへ歩いて行く。
目を開けると、見慣れないカーテンの間から陽の光が差している。寝起きのぼんやりした頭で「ここどこだっけ?」と考えるのはすっかり日課だ。私のアラームはまだ鳴らないが、部屋は明るい朝の気配が満ちている。
日々眠る部屋が変わる生活に、はじめは疲れることもあったが、今ではすっかり慣れてしまった。お気に入りの寝袋さえあれば、どこでもぐっすり眠ることができる。
止まらないアラームにやれやれという感じで、青い目の女の子がため息混じりの笑顔を向けてくる。こちらも同じような笑顔を返して、狭い二段ベッドから抜け出す。
ドミトリーの部屋で目覚める朝は大概がこんな感じだ。
ここから、私たちの一日が始まる。
行き当たりばったりだから出会いがある
はじめまして、川内まりと申します。
夫と一緒に「LIFE IS A JOURNEY!」という名前で世界を旅しています。
旅をしながら何をしているのかというと、「世界の暮らしのいいとこどり」をするべく、その土地に根付いた暮らしの知恵や素敵なアイデアを集めています。
世界各地にはその風土に根ざした生活があります。
そういった生活の中で培われた暮らし方を私たち自身がまず学び、そしてオンラインストアやPOP UP SHOPを通してご紹介しています。
旅の間は大抵、バックパッカー宿の二段ベッドがたくさん並んだドミトリーに泊まります。通常のホテルよりも安い、という理由ももちろんありますが、ドミトリーだと旅人同士の距離感が近く、有益な情報を得られることが多いからです。
周りの人のいびきやアラームで起こされることはしばしばありますが、そんな問題は帳消しになるほどの素晴らしい出会いが待ち受けていることもあります。
たとえば冒頭に書いた、朝の部屋で目が合った女の子。
狭い宿の中、食堂やダイニングでたびたび顔を合わせます。一度笑顔を交わし合っている相手は会話のとっかかりも見つけやすく、自然に話しかけることができます。
話し相手ができると、旅は一気に楽しさを増します。特に文化も風習も肌の色もまったく違う相手となれば、興味は尽きません。
そして、そんな会話の中で聞いた、「それいいね!」という文化を辿って、次の旅先を決めていきます。
中には「うちのおばあちゃんはこんな暮らしをしているの。次の旅先はうちの国にしたら?おばあちゃん紹介するわ!」なんてありがたいお誘いをしていただけることも。
旅のスタイルもお店の買い付けも、すべてが行き当たりばったりですが、ネットで調べてから行動するよりもずっと面白い展開が待っている気がして、どうにもやめられません。
もちろん、空振りに終わることもあります。
そんなときは諦めて、旅を楽しむことにしています。
旅は人生みたいなもの
「LIFE IS A JOURNEY!」。実はこの名前、ある人が決めてくれた名前なのですが、「人生は旅」、つまり逆に返すと、旅は人生みたいなもの。うまくいくこともあればいかないこともある、というふうにもとれて、私たち自身を表しているようでとても気に入っています。
この連載では、そんな行き当たりばったりの旅を通して見つけた、楽しいものや文化をお届けしていきたいと思います。
見たことのない異国の文化に触れて、これをきっかけに旅に出る人が一人でもいればいいな、なんて考えています。
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